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「ハァ……瀧は、翠爛の事を好いてるんだろう?なら、クランの事を忘れさせてやろう的な気持ちは芽生えないのか??」
深い溜息の後に、
言われた言葉。
一国の主らしからぬ言葉だが、これは……
瀧との人間同士。
つまり、同等の人間としての言葉なのだろう。
だから、
敢えて敬語は使わずに…
「翠爛様を好きな気持ちは、クランと姫様を見ているうちに消えた。今は、純粋に護衛と姫の関係だ。」
と言う。
「……呆れた男だな。」
と言われたが、
これは自分でも思う。
普通ならば、
この機会は絶好のチャンスだ。
こんなチャンス二度とないだろう。
でも、
そんな気持ちにはなれないのだから仕方ない。
「そんなにクランを連れ戻したいのか??」
「………はい。」
あぁ…
この方はご存知なのか…
自分のしようとしている事が。
「難儀な男だ。全く…」
と、何やら呟いていたが……
「翠爛の護衛官を一度に2人も失いたくはない。それに、そなたは神家から預かっている者だ。」
とおっしゃった後に…
「ヴァンパイア界と人間界の関係を壊さないなら行くのを許そう。」
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