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「お~お~可愛いひよこ達が浮き足だってるねぇ、バレンタインだしね。
んで・・我が姫、ゆりあは誰にあげるの?ってか、バレバレなんだけど」
『関係ない、とうか誰もいないから。
お父さんも仕事長引いて日本に戻れないみたいだわ』
授業を終え次が昼休みだということもありざわつく教室。
教壇に立ち頼まれた授業の後片付けをしていると楽しげに声を弾ませながら藍澤李瑚が歩み寄りる。
私はその言葉の本意を避けるように視線を李瑚に向けることが出来なかった。
「全く、そんなんだから王子も気付かないんだよ?
好きなら好きって言わないと王子、どこぞの姫にかっさらわれちゃうよ」
『・・好きじゃない。
嫌い、大嫌い。
私、これ準備室に戻してくる』
李瑚の視線の先には数人の女子生徒に囲まれいつもと変わらず楽しそうに笑い声を漏らす葵の姿がそこにあり、私は李瑚と同じように葵に視線を向けると姿を微かに映してすぐに手元に視線を返し言葉少なに李瑚に言いながら目の前にある、機材を両手で抱え込み背を向け教室を出て行く。
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