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「あっ、会長。僕も手伝います」
私の直ぐ後を追うように出てきた男子生徒に呼び止められ足を止めると振り向きその姿を視界に捉え私は自然と笑みを浮かべる。
『神楽君、大丈夫だから。』
「駄目です、会長。女の子って自覚してください」
大丈夫と告げる私をよそに神楽伊織は私の
両手に抱えた機材を軽々と自分の両手に持ち直す。
背が小さく幼さの残る顔立ちから女の子扱いされやすいけど、
こういう所はやはり男の子だと感じ先を歩き始めた伊織の背中を見ながら自分も歩き出す
『ありがとう』
「どういたしまして、会長」
他の人になら簡単にこんなにも素直に気持ち言葉に出来るのに、どうして葵にだけ私は意地を張ってしまうのだろう。
本当はもっとちゃんと可愛げある女の子になりたいのに。
そんなことを心の中で考えながら一度顔だけを教室の窓に向け、ため息に似た小さな息を隣の伊織に悟られないように吐き出し私は伊織と共に準備室へと向かった。
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