ざわつく小鳥。

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「それでね、って聞いてる?葵」 「えっ、ああ・・ごめん」 「もう。さっきから何処見てんの?先生が来ないか監視?」 葵は自分を見ながらむくれる女子生徒を宥めるように何度も謝罪を口にし微笑む。 「おやおや・・知らないのは当の本人達だけか。 教えてあげたいけど」 そんあ葵を見ながら意味ありげに笑い声を漏らす李瑚は教壇に右肘を付き、その右手を頬に添えクスクスと肩を震わせる。 「気付いてもらわないとねぇ、王子には。 うちの可愛い姫を翻弄しちゃってくれてんだから」 内緒とでも言うかのように李瑚は教壇から右肘を離し体勢を整えるように上体を戻すと右手人差し指をそっと自分の唇に当て教室を出て行く。 葵の視線の先には間違いなく彼女がいた。 彼を嫌う彼女、そして彼女を追って出て行った男子生徒。 葵の心は静かにざわつく、自分を嫌う彼女の本音を葵は知らない。 そして葵を嫌うゆりあも葵がそんな気持ちを抱えているのを知らない・・。
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