雨に触れる距離。

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なので本日も会議という名目で皆が集まっているもののほとんどの役員はおしゃべりや携帯を手にしている姿が映る。 その中で真面目に仕事をしているのは私と神楽伊織の二人だけで、私は時折、伊織のほうに視線を向けるも黙々と打ち込む彼の姿が視界に映るだけ。 私の嫌いな葵は突然降りだした雨を恨めしいと机に座り窓ガラス越しに空を仰いでいる。 『・・・これで・・』 ちょうど資料の目処が立ちパソコンキーボードのENTERを指先で押すと同時に下校時刻を知らせるチャイムが校内に響き渡る。 私は席を立ち周りを見渡すように一度視線を這わし正面に戻す。 『ご苦労様。 今日はもう帰っていいわ、後日詳しい内容はいつもどおり資料にして渡すから各自確認して置いて』 私のこの言葉を合図に待っていましたとばかりに、一目散に生徒会室内を後にして行く生徒に半ば呆れたように肩をすくめ私はデーターをUSBに保存するとパソコンの電源を落とす。
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