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しかしそんな彼女にも天敵とも呼べる存在が一人、まさに今の彼女の苛々の原因となる相手。
海藤葵、ゆりあと同じく高校三年で生徒会副会長であり、真面目だけが取り得のゆりあと違い彼はその来るもの拒まずの性格から女子生徒は勿論のこと、男子生徒にも人気があり言わば人気投票で副会長に当選した。
ゆりあにとってそんな彼の存在はまさに天敵。
自分とは正反対な彼の存在にゆりあは無視するつもりでした
そう決めていたはずだった。
『煩い、ここは本を静かに読む場所の筈よ。
はっきり言って貴方達の存在は迷惑だわ』
苛々が募り耐え切られなくなった私は立ち上がるとそのまま葵とその周りに居る女子数名の元へと歩き傍で立ち止まると怒りを込めた口調で言い切りその場にいる女子生徒と葵は睨み付ける。
「何それ・・」
「お局怖ーい」
私の行動に彼女達はこれ見よがしに聞こえるような声量で口々に言葉を滑らせる、私はそんな彼女達の言葉など聞こえていないかのように視線を中心人物に居た葵に向けた。
『副会長がそれでは困るわ。
貴方達のしゃべる声がどれだけの人間の迷惑になってるか知ってもらわないと』
「本当に真面目だよな、ゆりあサマは。
俺が悪かった、彼女達を連れて出て行くよ」
嫌味にも聞こえる葵の言葉に私は微かに眉を動かし気に入らないとでも言うかのように主張してみるも葵はそんな私の様子も気にしていない様子で未だに文句を言う彼女達を宥め図書室入り口へと歩き出す。
そんな葵の行動に私はこれで静かになると自分の席に戻ろうと踵を返した。
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