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『あの木に何かあるの?』
私は少女が示した木に近づき木の上に視線を這わしよく目を凝らす。
すると木の上に風に靡く水色のリボンが枝に引っかかっているのが見え私は少女にもう一度視線を戻す。
「・・引っかかって・・取れない」
少女はようやく口を開き泣きじゃっくりをあげながら途切れ途切れに言葉を放つ私は少女の頬を両手で包むように撫で微笑みかける。
『お姉さんが取ってあげる。だから泣かないで』
「えっ、ゆりあ、危ないって」
私は葵の言葉を無視し立ち上がり体勢を整えると木の幹に手を伸ばす、しかしその手は更に大きな手によって遮られる。
『貴方?一体』
「どいて。女の子にこんなことさせられない、俺が取る」
『関係ないわ、性別なんて』
「いいから」
反論する私をぴっしゃりと制すと葵は木の枝を選びながら足をかけて行き上へ上へと登って行く、私と少女はハラハラとした様子でその光景を見ていると葵の右手が風に靡くリボンに掛かる。
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