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翌日、私は葵の存在徹底的に無視することに決めた私はとにかく避け続けた。
もうこれ以上むやみに傷つけられるのは沢山だった。
「・・・会長?聞いてます?」
『えっ。ごめんなさい、神楽君』
「いえ、大丈夫ですか?」
神楽伊織と生徒会室で資料整理をしていた私はどうやらぼんやりしていたらしく心配そうに見つめる神楽伊織に精一杯笑ってみせる。
「無理しないでください、僕が力になります」
『ありがとう、貴方みたいな役員が居て助かるわ』
そんな私の言葉に急に伊織は真剣な表情をし私の両手を自分の両手でしっかり掴む。
「僕、後輩として会長のこと慕ってる訳じゃないですから」
『神楽君?』
呆気に取られている私の両手を自分の方に引き寄せるように伊織は引っ張ると私の頬に軽く唇を当て笑うと私の手を離す。
「覚えていて、ゆりあ」
またあどけない表情に戻った伊織は立ち上がり自分の唇に右手人差し指をあてそう言葉を残し生徒会室を出て行く。
『・・・って、キス・・頬だけど』
私はただただいきなりの急な展開に思考がついていかず、呆然と伊織を見送るしかなかった。
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