消えない熱。

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「王子が風邪でダウンだってさ、どうする?ゆりあ」 『・・分ってるわ。 結局いつもきっかけをくれるのは李瑚ね、良くも悪くも』  「そりゃ、私は姫の味方だから」 『一応私のせいでもあるわけだし』  「そうと決まれば倉島に報告しとくから今から行きな?放課後だと他の姫君がうるさいしさ」 私はきっかけが欲しかった、それを与えてくれるのはいつも李瑚。 私は李瑚の提案に迷うも同じ考えを持ち相談している女子生徒のことを考え提案に乗ることにする。 『その前に、神楽君に生徒会のことお願いしないと』 私は李瑚と別れ教室を出ると伊織の教室へと足を延ばす。 しかし伊織の姿は教室内に無く同じクラスメイトの子から生徒会室に行ったことを聞き私も生徒会室へと行く。 すると伊織は真剣な表情でパソコン画面と睨みあっていた。 私は彼の邪魔をしないようにそっと近づき机に手を置く。 『何かあったの?』 「あっ会長。 いえ、少しでも業務が円滑になれば会長の負担も減るかと思って」 伊織は驚いた様子で画面から離れると私はパソコン画面を覗き込む、するとそこには其々の役割分担や改善案がびっしりと 記載してあった。 『ありがとう、と今日・・早退したいのだけれど後、頼める?』  「えっ早退ってどこか悪いんですか?」 『違うわ、副会長が風邪で寝込んで、様子を見に・・』 「会長・・副会長のこと好きなんですか?」 『ちっ違う、ただ私は会長としてそれだけよ』 「分りました・・でも僕、海藤先輩には負けません。 貴女を渡しませんから。 なんて・・いいですよ、任せてください」 明らかに動揺した私を伊織は見透かしたように視線を向けまるでそこに葵がいるかのような口ぶりで笑むと頷く。
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