34人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
「・・僕を選んでください。
そしたら貴女を泣かせません、貴女だけを見てますから」
私の耳元で伊織が言葉を口にする度に吐息が耳にかかる。
自分には勿体無いぐらいの言葉を伊織は与えてくれる。
このまま寄り添ってしまったら楽になれるのかもそう考えたのも束の間、私は伊織の腕を掴みそっと自分の身体から離す。
『・・ごめんなさい』
私は一言だけそう伊織に告げるとまたその場所を逃げるように私は立ち去り涙で潤む瞳を見られるのが嫌で保健室に逃げ込みベッドに座る。
『私、逃げてばっかだ。
いろんな人傷つけてる』
どうしたらいいのか分らす顔を両手で覆い隠すと声を殺しながら私は涙が枯れるのを待っていると保健室の扉が開き私はその音に顔をあげると李瑚が顔を覗かせる。
最初のコメントを投稿しよう!