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私の苛々の原因である葵は誰にでも優しい。
それは分け隔てなく与えられるもので私に向けられた優しさも葵にとってはなんの意味も持たないと知ったのはそんなに時間は掛からなかった。
パソコンの無機質な音だけが生徒会室に響き渡る。
時刻は午後五時、既に部活で残る生徒以外は下校している時刻。
私は明日までに提出しなければならない書類を前に作業を進めていた。
はっきり言って生徒会とは名ばかりで全校生徒の面倒な雑務を押し付けられるようなものだと私以外の生徒会役員はやる気がなく定例会議が終わるとそそくさと帰ってしまった。
薄情だと私の友達は怒っていたけれど私にとっては寧ろ好都合で、やる気のない人間に業務をやらせると嫌でもミスが目だってしまい逆に仕事が増えるというのが私の本音であったからだ。
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