零れた優しさ。(番外編)

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風に舞ったカーテンが揺らぐ音で私は我に返る。 きっと葵は覚えてなどいない、あんな些細なこと。 覚えているのはきっと私だけ それでも嬉しかった。 安心した。 忘れられない私の大切な記憶 立ち上がると書類を机に置き窓際に足を進ませ窓を閉める。 季節は巡る。 そしてほら暖かい春の風ももうきっと直ぐ傍に。 「ん・・あれ。 終わった訳?ゆりあ」 『あともう少し』 「そっか、早く終わらせて帰ろう」 物音に気付いて葵が目を覚まし眠そうに瞳擦りながら上半身を起こすと、んーと唸り身体を伸ばし立ち上がり私の傍に来るとまたその温かさで私を包み込む。
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