零れた優しさ。(番外編)

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『手伝ってくれたら早く終わるかも』 「いいよ、早く終わらせないと。 暗闇の中、帰る羽目になるぜ?また泣くだろ?」 『・・泣か・・覚えてるの?』 「まっ今度は俺が傍にいるから大丈夫だけどな。 さっやるぞ」 葵は私の言葉には答えてはくれなかった。 けれど私はそれだけで葵が覚えてることはちゃんと分った。 私から身体を離し山積みの資料を抱えた葵の背中に私は抱き付く。 『・・ありがとう』 「どういたしまして、ほら そんなにくっつくと襲いますよ?ゆりあさん」 『葵ってほんとにもう』 誰かと記憶を共有する。 それは家族であったり、友達であったり、周りの人たちであったりする。 そのひとつひとつが私にとって記憶のかけら。 そしてその欠片はこれからも 増えていく。 葵と共有するこの時間がこんなにも幸せだと感じるこの瞬間がずっとこの先も続けばいい。 そう願わずにいられない。  でもきっと大丈夫。 何度でも私はその温もりに手を伸ばす。 ずっとこれからも《end》
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