気まぐれな優しさ。

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誰かにやらせるなら自分がその性格が仇となるのか、それとも利用されているのかわからないけどほとんどの生徒会役員のみならず友達さえも私に面倒な仕事を回す。 それを拒ないのは結局誰かがやらなければいけないことと思う気持ちがあるからだった。 時刻は五時半、ようやく出来上がった書類を印刷し終え一部ずつ、角をホッチキスで作業をしているとガラッと音を生徒会室のドアが開き廊下側からの冷たい風が流れ込み私は視線をあげる。 「・・あれ、ゆりあサマまだ居たの?」 『ええ、どうしても仕上げなきゃいけないから』 相手を確認するとまた私は視線を下げ目の前の山となった。 書類に手を伸ばす、暫く続いた沈黙の後に葵は黙って私の向かいの席の椅子に腰を下ろすと書類の山に手を伸ばし私と同じように書類を片付けていく。 『別に・・』 「二人でやったほうが早いっしょ?ってかこう見えても副会長だからな」 私の言葉を先読みしたように言いながら葵は黙々と作業をする手を動かす、私は見透かされたような気分になり黙り込み書類を留めるホッチキスの音だけが響き渡る。
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