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枕をカバンにして、風に乗って揺れる髪を触ると濡れた感触がした。
顔は窓の方を向いてるので、どんな顔をしてるのか分からない。
「…起こしたくないなぁ。」
しかし、時間はそれを許してくれない。
「先輩!起きて下さい。時間ですよ!」
今日の私は、起こしてばかりだな。
「…ぅ…ん。…おはよう。」
辺りを見渡してから、小さく欠伸をした。
…くぅ~可愛すぎです、先輩!
「今日は、遅かったね?」
「すみません。ちょっと家の馬鹿犬が発情…じゃなく歯磨きを嫌がって遅くなりました。」
「…犬居たの?」
居ますよ。犬=義父が…。
「えぇ。」
「ふぅ~ん。あっ、時間だね。明日は、何時もの時間に来いよ。」
「あっ、はい。」
そして、手にしていた紙袋を渡した。
「じゃな!」
手を振って去っていく先輩の背中を見送ってから自分も図書室から出た。
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