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「ふぅ~」
弦のため息に、ビクッと体が震えた。
「桜…彼氏が出来たならきちんと紹介して欲しいんだ。内緒にされると悲しい…。」
顔をあげて、弦を見たら、表情に憂いがあり、戸惑った。
「…でも、今までは紹介したよ?」
そう、彼氏が出来たのは初めてではない。
今回のを合わせて3人。
皆、兄や義父のせいで去って行った。
しかも、捨てセリフは2人共一緒だった。
『ヒィ!近寄らないでくれ。頼む、命が惜しい。』
みたいな感じだったかな。
「桜には、内緒にしてたんだ。これからも、話すつもりは無かった。
実は、あの二人はね、他に女がいたんだ。
義父さんのように、あちらこちらと手を出して…。」
え!?そっ、そうだったんだ。
…なら、仕方ないかな。でも、気づかなかった。
「でも、先輩は違うよ!先輩は、そんな…。」
ポン
頭に温もりが伝わった。
「分かった。桜が、幸せならね。」
(邪魔はしないなんて、言ってないしな。)
にっこり微笑む弦に、桜は安心した。
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