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ガチャ
扉の開く音が聞こえ、後ろに振り返った。
「お兄ちゃん、朝だよ。」
かわいい桜の声に笑みが出そうだ。
「もう、起きてる。
遅かったな。どうせまた馬鹿のせいだろ。」
ネクタイを巻いて結んびながら、ため息をついた。
「アハハ…。」
桜の乾いた笑い声に、本当に馬鹿親父を説教しないといけないな。
「誰が、馬鹿ですか?」
桜の後ろから、憎い男の声が聞こえた。
「あんただよ、くそ親父!」
「弦、そんな口の聞方を、教えて育てた覚えがないんだけど…」
その言葉にフンと鼻で笑った。
「あっ、そうそう…もう、時間が無いぞ。」
「え!?」
針が指した場所は、7時15分だった。
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