一、崩壊の始まり

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  僕は妹に軽く微笑んでみせると、部屋のある二階へと上がった。     家族の印象も悪くない。     適度に優しく。 適度にやんちゃで。 適度に優秀で。 適度に家族想い。   僕だって別に醒めている訳ではない。   家族は特別だ。   他のどの家庭とも同じで、我が家だって様々な問題を抱えているのだから。   全て解決出来れば、それが一番良いのだが。   そう思いながら、部屋のドアを開けた。     「待っていたぞ、コウヘイ」     窓辺。   月明かりを背負って、少女が言った。           一、了
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