一、崩壊の始まり

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  (頼めるのこいつだけなんだよな。周りの奴等お堅いし)     …………。     「なぁ、わりぃ、問題集写させてくんね?」   そう言って片目をつむって片手でごめん、というジェスチャーをする立花。   「だからいつも言ってるだろ、課題忘れんなよって」   僕は呆れたようなため息を吐いてみせる。   「だからわりぃって! な? 頼むよ、次はちゃんとするからさぁー」     (んな訳ねぇじゃん。勉強するくらいなら女と遊ぶし)     「仕方ないな立花は。ほら、今回だけな」   僕はそう言って、解答済みの問題集を立花に渡した。     (ほらな、楽勝)     「わり、すぐ返すから」   「解ったよ」   立花は席に戻り、問題集を写し始める。   「おはよー伊坂、相変わらずだねぇ立花優一は」     (あんな奴がなんで同じ高校なんだ……)  
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