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「おはよう伊坂君」
僕は目を合わせて挨拶を返す。
「おはよ」
(あ、目が合った)
そのまま立ち止まる事なく宮野は自分の席に向かう。
「やっぱ正統派美少女ってのはいいねー」
と坂田。
「ふん、どこがいいんだか」
と井口。
(今日も可愛いな……)
ふう、馬鹿共の相手は疲れる。
「俺も、外見は好みだけど近寄り難いな宮野さんは」
くるくる、とペンを弄びながら言ってみせる。
(……伊坂は彼女に興味ないみたいだな)
ああ、全くないね。
ま、彼女もお前には興味ないけれど。
(ふぃー、今日も仕事仕事)
僕は時計を見て、
「そろそろ渡辺がくるぜ」
がらがら、と教室のドアが開き、恰幅の良い中年の男が顔を出す。
「席つけー。HR始めるぞー」
このクラスの担任、渡辺。
井口と坂田はそれぞれ席に戻っていく。
――そう。
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