一、崩壊の始まり

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  「おはよう伊坂君」   僕は目を合わせて挨拶を返す。   「おはよ」     (あ、目が合った)     そのまま立ち止まる事なく宮野は自分の席に向かう。   「やっぱ正統派美少女ってのはいいねー」   と坂田。   「ふん、どこがいいんだか」   と井口。     (今日も可愛いな……)     ふう、馬鹿共の相手は疲れる。   「俺も、外見は好みだけど近寄り難いな宮野さんは」   くるくる、とペンを弄びながら言ってみせる。     (……伊坂は彼女に興味ないみたいだな)     ああ、全くないね。   ま、彼女もお前には興味ないけれど。     (ふぃー、今日も仕事仕事)     僕は時計を見て、   「そろそろ渡辺がくるぜ」   がらがら、と教室のドアが開き、恰幅の良い中年の男が顔を出す。   「席つけー。HR始めるぞー」   このクラスの担任、渡辺。   井口と坂田はそれぞれ席に戻っていく。         ――そう。  
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