一、崩壊の始まり

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  僕は、『心が読める』のだ。   正確には他人の心の声が勝手に聴こえてくる、が正しい。     いつからかは解らない。     物心付いた時には既に聴こえていた。   自分が他人と少し違う能力を持っているのだという事は幼い頃から薄々気付いていた。   処世術、と言うのだろうか。   小学校に上がる頃には、心の声が聴こえることを隠し、またそれを利用し、人間関係を上手く保つ事が出来るようになっていた。     また、他人がどのような人間を好ましく思うのかも、実験を繰り返すうちに解ってきた。       言葉、仕草、行動。       それらに対する反応や“声”で、関わりのある人間それぞれの『好ましい人間』を知る事が出来た。     人それぞれ『好ましい』と思う性格は違うが、一つ共通点がある。  
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