一、崩壊の始まり

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  それは、“不完全である”という事だ。     人は完璧な人間を嫌う。     自分に欠点があるように、他人にも欠点があって欲しいのだ。   だから僕は、『優等生』で『いい奴』、なのだ。   『いい奴』とはつまり、ある程度頼りになる“普通の”人間の事だ。   真面目過ぎず、優し過ぎず、目立ち過ぎず。     全てバランス良く。     そして出来たのが、僕という人間。     伊坂公平を嫌う人間はいない。     それが僕の自信であり、密かなる誇りだった。  
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