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「…あの人は、何をすればいいってキミに言ったの?」
「皆に“ありがとう”を伝えるの。お月様が、次に涙を流すまでに」
「涙…か。それは多分夜に雨が降ることだと思う。
それなら、次は明後日。
それまでもう少しだけなら待ってあげるよ」
「ありがとう。死神さん」
「どういたしまして。オレらの仕事は安らかになった魂を運ぶ事だから。
明後日までに、ちゃんと終わらせなよ」
「うん」
その言葉を聞くと、少年は、すぅ…と姿を消しました。
死神のいなくなった病室で、また女の子は月を見上げていました。
さっきまでの涙が嘘のようにニコニコと笑いながら。
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