女の子と死神

3/3

864人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「…あの人は、何をすればいいってキミに言ったの?」 「皆に“ありがとう”を伝えるの。お月様が、次に涙を流すまでに」 「涙…か。それは多分夜に雨が降ることだと思う。 それなら、次は明後日。 それまでもう少しだけなら待ってあげるよ」 「ありがとう。死神さん」 「どういたしまして。オレらの仕事は安らかになった魂を運ぶ事だから。 明後日までに、ちゃんと終わらせなよ」 「うん」 その言葉を聞くと、少年は、すぅ…と姿を消しました。 死神のいなくなった病室で、また女の子は月を見上げていました。 さっきまでの涙が嘘のようにニコニコと笑いながら。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

864人が本棚に入れています
本棚に追加