~集の章~

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主水「化けもんみてぇな殺し屋が現れたって言いてぇんだろ?」 秀「どうしてそれを!?」 加代「長崎にも出たのよ秀」 左門「こっちには馬鹿でけえ岩みてえな奴が来たぜ」 秀「加代!左門さん!」 おせい「半兵衛さん!」 主水「おせい、知った顔かい?」 おせい「ええ、まぁ・・・」 半兵衛、主水に「いやぁ、あたしゃ『知らぬ顔』ですぜ」 主水はおせいの昔を知らなかった。 おせいは主水と出会う以前、飛脚問屋『嶋屋』の女将で、裏では『仕事屋』元締として、手下の利助の他に半兵衛と、表稼業を持たない遊び人の政吉をスカウトし、数々の悪党を闇に葬った。 半兵衛「女将さん、俺達ゃあ、無様に生き続けちまった様ですね」 おせい「その様ですね・・・」 おせいの脳裏に政吉の姿が浮かんだ「(政吉・・・)」 政吉はおせいの実の息子で、偶然の再会であったが、政吉はその事を知らない。裏稼業がバレて奉行所に捕われて拷問を受けた彼は、おせい達を守る為に、隙を見て自ら役人の刀で自害して果てたのだった・・・。 捨三「旦那ぁ~!」 主水「おう!おめぇは変わらねぇなぁ」 正八「旦那は老けたんじゃない?」 主水「何を~。おめぇのその頭、カツラじゃねぇだろうな?」 正八「な!・・・(小声になり)何言ってんだよ」 離れた所に、市松と又右衛門が斜に構えて立っていた。頷く主水。 大吉「惣太!」 惣太「大吉~!先生も!」 忍「これで三人揃いましたね」 勘平「三味線屋、もう一人帰ぇって来たみたいだぜ」 新吉「・・・よう」 勇次「おめぇのぶっきらぼうも変わらねえなあ」 与市「あら、組紐屋と壱はんがおらへんがな」 主水「そうかあいつ等も(生き返ったの)か・・・チェッ、壱の野郎、人が折角頼み事しようと思ったのに何処行きやがった?」
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