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お銀「そう言えば、こっちも一人居無い様な・・・」気付くと凶吉の姿が無かった。
秀「お銀さん、どうした!?」
綾麻呂がお銀に気付き「姉ぇさぁ~ん!」と寄って来て、道すがら摘んだ花を差し出した。
お銀「マロォ!」
綾麻呂「われ、もっこり❤」
お銀「マァ~ロォ~!それを言うなら、われもこう!んもぅ!久々に会っていきなりそれかい!?」
綾麻呂「怒らんでもええやん・・・姉さんに怒られたら、ワシ死にとうなって来たわ」
お銀「はいはい!何処へでも行って死んでおいで!」
綾麻呂「そんな言い方・・・ホンマに傷付くわ」ふらふらと歩き出し、戸を開けて出ていった。
綾麻呂が歩く先の辻に、頬っ被りをした火の用心の夜廻りの男が通りかかった。
チョン、チョンと闇夜に響く拍子木の音・・・。
その音にハッとしたのは直次郎「まさか!?」外へ出ると、綾麻呂を突き飛ばして走り出した。
綾麻呂「あ痛!」
主水「おいどうしたんだ一体ぇ!?」提灯を持って直次郎の後を追った。
直次郎は「オラオラオラオラ~!」と声をあげながら夜廻りの方へ走ると、長ドスを抜いて高々と飛び上がり、夜廻りに斬りかかった!火の用心の提灯が遠くへ飛んだ・・・。
キィーン!
提灯が地面に落ち、燃え上がった。主水が到着し、提灯で二人をかざした。
夜廻りの男は、拍子木で直次郎の刃を挟んで受け止めていた!
主水は男の頬っ被りを引き剥がした。
提灯に照らされた男の顔・・・。
直次郎「やっぱりとっつぁんだぁ~!」と言うや否や、長ドスを放り投げて男に抱きついた。
主水「どう言う訳だ?」
直次郎「日本一の『仕舞人』晋松のとっつぁんでい!」
晋松も『坂東京山一座』として旅した『仕舞人』で、当初は、ゼンマイ状の鋼を仕込んだ縄で、悪人の首を絞め上げる殺し技だったが、二度目の再会以降は、拍子木の片方を相手に投げて、紐を首に巻き付かせて絞め殺す技を用いていた。
直次郎「とっつぁん!おっ師ょさんは!?お花ちゃん達は!?本然寺は!?」と、矢継ぎ早に聴いた。
「わからねぇ」と、首を横に振った晋松「本然寺は、堅く門を閉ざしたままだ」
直次郎「そうだ、権太に聴けば!?俺も馬鹿だよなぁ」
主水「あの野郎はもうどっか行っちまったぜ。(晋松に)おめぇにもこっちに来て貰おうか」
晋松頷くと「今夜『仕事』が立つらしいですぜ」
主水「何!?そりゃどう言う訳だ!?」
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