~集の章~

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一度に子分達を総倒しようとしたのか、天平は、背負っていた袋から打ち上げ花火の玉を出したが、その前を市松が塞いだ。 市松「ここでそんな物使っちゃ、騒ぎになるぜ」 「てぇ~い!」ズシュッ!背中を刺された子分が倒れると、錠の姿が在った。 向かって来る子分を蹴り上げ、簪を回す秀。 トュピィーン!ブシュッ!子分の額に突き刺さる簪! そこへ次々と子分達がやって来て秀を取り囲んだ! 何処からともなく、ブクブクとシャボン玉が宙を舞った! おむら「あれは!?」 大男が走り込んで来た!例の三人組の一人だ。 男は両手に『トンファー』の様な大きな武具を持っていた。 バコン!ゴキン!ボリボリッ!秀を囲んだ子分達を殴り、瞬殺した! 秀「おめぇは!?」 おむら「腕助!」 蟹の腕助。おむら配下の『仕事人』だったが、暗殺者集団『地獄組』との死闘で、仲間達と共に惨殺されたのだ! 反対側の辻からは、三尺程の槍の端を持ち、右で縦に回転させると左で・・・と、ブンッ!ブンッ!と左右に振り回しながら、男が近付いて来た。『戌の会』の髭の男だ。 向かって来る子分の腹に、槍を一突き!ドブシュッ! 秀「東吉っつぁん!」 秀が、元締・神楽坂宗右衛門の配下だった時に、綾麻呂やお銀と組んでいた、矢場の女将のヒモでその実『仕事人』の香車の東吉だ。 東吉「挨拶は後だ」ブホッ!背後の子分に、後ろ手に槍を刺した! ドカンッ!戸を蹴飛ばして、大刀を構えた主水が屋敷に入った。 あがりがまちで、迫る子分達を、畳み掛ける様に斬り倒した! ズビュ!ズバッ!ドビュゥッ! たじろいだ子分が、窓に背をつけると、その窓が突然開いた! 窓の外には、髭面の小男が居た。 「これ、あげるわ」そう言うと男は何かを持ち上げた。巨大な岩だ! 子分が驚く暇も無く、男は軽々と、岩を子分へ放った! 「ぐわ!」ドゴォンッ!ボリッ!悲鳴と共に、子分は床下にめり込んでいた! 三人組の一人、京の『仕事人』鉄五郎。殺し屋集団『闇射人』相手の『仕事』で、命を落とした。 主水は刀をブンッと振り血を払うと、月三達に背を向け、刀を鞘に収めた。 「ひぃえぇ~!」主水の背後を通り抜けて、外に逃げたのは、与吉だった。 ガッ!ボリッ!与吉の顔面を何者かの手が掴んだ! 主水「おめぇ!?」
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