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艦隊がタブラス海峡に差し掛かったとき、上空にB-24が現れた。
明らかに偵察機だ。
敵機は一万の高度を飛行しており、もくもくと電文を打電しているらしい。
発見されたからには敵機が雲海の如く押し寄せて来るだろう。
だがこちらは戦艦などばかりで空母がいない。
直衛機は一機もない。
こんなので無事にレイテに着けるのだろうか?
艦隊はレイテにつくまでに様々な死の関門を通らなくてはいけなくなった。
第一波が来たのは2時間後だった。
見張り員が水平線上に小さな豆粒を見つけた。
それはどんどん大きくなっていく。敵の艦載機だ!
「右九十度、アベンジャー雷撃機六十機、突っ込んでくる!」
「対空戦闘用意!」
武蔵の主砲が一斉に動き、大きな響き渡る音を出して火を吹いた!
三式焼さん弾が炸裂し、数機が火を吹いて落ちていった。
俺は機銃員なので爆弾一発喰らったら粉々に吹き飛んでしまうだろう。
俺は今日が人生最後の日になるかもしれないと思った。
そう考えるととてつもない恐怖が襲って来た。
嫌だ!死ぬのは嫌だ!国のために、天皇のために、それがどんなに「名誉の死」だとしても、死を目の当たりにしてそんなねなんの救いにもならない。
僕は鉄兜をかぶりなおして銃身を水平線の方へ向けた。
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