戦艦武蔵の戦い

4/6
前へ
/6ページ
次へ
武蔵は最大速度で回避運動に入っていた。 「右九十度、高角四十度、目標、敵雷撃機」 「全砲撃ち方始め!」 その声を合図に全砲門が火を吹いた! 僕は銃に身を寄せて右足で引き金を引き続けた。 ダダダダダダ、前の三本の銃身から二十五ミリ弾が上がっていく。 そして福砲、高角砲が続けて轟いた。 敵機は上から翼を翻し突っ込んでくる。 その機体から爆弾が、魚雷が無造作に降ってくる。 後ろで誰かが叫んだ。 「くるぞ!伏せろ!」 俺は反射的に伏せた。 すれとどでかい爆音がした 「二番福砲直撃!全員戦死!」 敵機は機銃も加えた。 頭上をロケット弾が飛んでいく。 隣にいた上嶋水兵長がいきなり狂ったような声で、「ぎゃゃゃゃゃー」と叫んで倒れた。 胸が裂け、そこから夥しい血が吹き上がり、絶命した 「落ち着いてよくねらえ!」 突然爆炎の中からTBF機が急降下してきた。 そして腹から魚雷を投下していった。 「左三十度、魚雷が向かってくる!」 「面舵一杯!」 艦は右へ振れて魚雷をかわした。 すると今度はグラマンが五機突っ込んできた。 ロケット弾が風を切り飛んでくる。 瞬間僕は爆風で吹き飛んだそして気を失った。 目がさめると辺りは真っ暗で硝煙が立ち込める。 僕は怖くなり近くにいた戦友の頭を揺らした。 だが感触は軽い。 よく見たら首だけで胴体は吹き飛んでいた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加