第一章 彼女は。

11/11
前へ
/162ページ
次へ
4 楽しい(?)会議 「もっと早く歩いて下さい。」 とツカツカと廊下をはや歩きで歩く和音ちゃんは 数メートル後ろで歩く僕に時折そう言ってくる。えぇ~~~と嫌そうな顔をするとキッと睨まれた。はぁ……と深い溜め息を溢した。キッチリすぎる……というかツンツンしすぎだよ。和音ちゃんの背中を見ながらそう思った。 「溜め息なんかついてないで早く!」 地獄耳だ。急かされてしまって仕方がないので歩調を和音ちゃんに合わせ 歩き出した。 生徒会会議室 廊下の端っこにつくと、そう書かれた古びた看板が見え、近くのドアを開ける。すると既に生徒会役員数名が全員揃って待っていた。いかにもガリ勉という言葉が似合う役員達が腰かける席に 自分も座らなくてはならないと思うと少し拒みたくなる。だって視線が―――僕だけ周りの人と違うんだもん―――会長という札が置いてある席にストンと座ると、隣に座る議長の女子生徒が明らかに僕を珍しい物を見る目つきで凝視しているのがわかった。目があうと、女子生徒はあたふたして僕から視線を外した。 浮いてしまう。しかもここではよりいっそう 浮いてしまう。何だか嫌になり、唯一の楽しみ、先程とは逆の席に座る和音ちゃんの方を見る。やっぱり可愛いな………議題を発表している和音ちゃんをうっとりと眺める。一通り議題を発表すると和音ちゃんの足が僕の足をおもいっきり強く踏んだ。 ダンッ 「……いっ!?」 突然の痛みにうめき声をあげてしまった。何も知らない役員達は一斉に僕の方を見る。ジンジンと痛む足を撫でたいが、みんなが真剣に討議してるのにそんことは出来るわけがなくて、この苦痛を産み出した張本人、和音ちゃんを涙目で睨んだ。すると和音ちゃんはかなりのご立腹。テメェちゃんと話し聞いとけよ。と言わんばかり。すみません………。心の中で小さく呟いた。 「――――それで、会長の方からは何か提案はありますか?」 「はい?!」 急に話が自分に向けられ、戸惑う。話し聞いてなかったよあちゃ~。わからないので適当に答えた。 「と、とくに無し。」 ―――って 会議で会長がとくに無しとか言っていいのかなぁ~というかこんな会長でよく生徒会なんてやってられるよな~と言った後で後悔してしまった。 「それじゃ、明日の運動祭はこの順序で。」 と誰かがしめくくった。 え?明日!?
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1108人が本棚に入れています
本棚に追加