第一章 彼女は。

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3 楽しみ(?)な会議 6時間目の授業が終わり、掃除もし、帰りの会も終えると 部活に行く人と帰る人が入り混じる廊下はかなりの混雑。僕はその人混みをかきわけて真っ直ぐにあるところへと向かった。 一年生の教室が並ぶ五階。ここに来ると いつもわくわくする。静まりかえった教室は全部の扉が閉められていた。もうみんな帰っちゃったのかななんて考えながら歩くと廊下に僕の足音が静かに響いた。 一組、二組、三組………七組。僕は目的の教室、和音ちゃんのクラスに着くと、足を止め、ドアに手をかける。このドアの向こうに和音ちゃんがいる―――そう思うと 顔が緩んだ。僕は毎日授業が終わり、生徒会室に行く前に 和音ちゃんを迎えに行く。うざがられるけど。今日は6時間授業だったから、待ちくたびれてしまった。早く、和音ちゃんの顔が見たくて 勢い良く扉を開けた。 ガラッ 「和音ちゃん!トウマ君が迎えにきたよ~!」                顔を緩ませながら和音ちゃんに向かって手をふる。その瞬間、一瞬で氷ついた。 ……まだ授業中じゃん! 「加賀峰!まだ授業中だぞ!何をやってるんだ!」 うるせーこの状況を見ればわかるよハゲ!だいたい何でまだ授業やってんだよ!とハゲた数学教師に怒鳴られながらキョロキョロと首を動かし和音ちゃんの姿を捜した。すると、窓側の一番後ろの席で僕のことも気にかけず、カリカリとノートをとっている和音ちゃんが目にとまった。 ちょっと!授業もいいけど僕のことも少しは気にしてよ!泣いちゃうぞ 僕!! なんて思うのだけど、その美しい姿を見たらただ ほてり、ボーっとしてしまう。日の光が浴びせられていて、いつも以上に綺麗な和音ちゃん。 「加賀峰!私の話を聞いているのか!?」 さっきからハゲが何か言ってくるけど、何を言っているのか全くわからない。ハゲのことはシカトし、吸いよせられるように和音ちゃんの元へと歩を進めた。                「和音ちゃん、あの人近付いてくるよ。」 隣の席に座っていた女子生徒が和音ちゃんの耳元に口をよせ、静かに僕が近付いてくるのを教えてあげていた。それを皮切りに、今まで黙っていた周りの生徒は、ヒソヒソと噂ばなしをし始める。 「あの人ってさ………」 「みんなにアホって呼ばれてる人だよね?」 「確かにアホだね。」 僕はアホじゃない!多分!
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