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  ―――――その日の晩。 春宮は、また殺しの夢を見た。 今度は、女の子が両親を殺す夢…。  「もう我慢できない!母さん達なんて死ねばいい!殺してやる!!」 そう言いながら、女の子は自分の母と父にナイフを向けて泣き叫んでいる。  「ど、どうして?音々、何が嫌なの?私達、音々に何かした?ねぇ、音々…うっ。」 そう言って、母は倒れた。 音々と呼ばれた女の子は、自分の母を手に持っていたナイフで刺していた。  「ね…音々、目を覚ませ!父さん達が悪かったなら謝るから、な?さぁ、119番だ。救急車を呼ぼう。」 そう言って父は電話の方へ行った。 その後ろから、音々は父をナイフで刺し殺してしまった。  「ね…ね…。ごめん…な…。」 そう言い残して父は死んだ。 女の子は涙を流した。。。 涙が枯れるくらいに泣いた。  「わぁーーーん。わぁーーーん。父さん、母さん…ごめんなさい…ごめんなさい…。」 ずっと“ごめんなさい”と泣く女の子。 それが、春宮 音々だった。 両親を殺してしまった時の夢…。 5年前の心に残った大きな穴となった、あの嫌な記憶…。  「どうして、こんな夢…。まだ、怒っているの?でも、母さん達が悪いのよ…。」 起きるなり、春宮はそう言った。 そして、涙を流しながらまた何度も“ごめん”と言った。 春宮はその数日後、死体となって発見された。 あの夢を見た後、父と母を殺したナイフで手首を切って自殺したとされていた。 ……………が、真相は誰も知らない…。  
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