短編集

雨降る日

　
それは突然だった。
彼女が一言こう言った。

「ごめんね。もう友達の戻ろう。」

…と。
俺は驚いたが、いつもの冗談かと思って

「わかった。わかった。」

と笑いながら言うと、彼女は泣き出してしまった。
俺は訳が分からず、ただただ泣く彼女を慰めていた。

「どうした？なぁ、何で泣いて…。」

彼女は泣きながら

「ねぇ、どうしてそんな簡単にわかったって言うの？初めから私の事…好きじゃなかったんでしょ？」

…と言った。

（は？いつもの冗談じゃねーの？）

と思った。

その後、彼女は泣き腫らした瞳を俺に向けて去って行った。
最後に

「さよなら…。」

と残して…。
俺は涙を流した。
彼女が立ち去った後、ずっと……ずっと涙を流し続けた。
恥など全部捨てて………。

そんな俺を哀れに思ったのか、雨が降り出した。
その雨が俺の涙を隠してくれた。

今、俺は彼女の事を諦めようかと思っている。
そんなに簡単な事ではないのはわかっている。
だから俺は自然に消えるまで待つつもりだ。

最近、少し自分の気持ちが落ち着いてきている。
そんな気がしたから…もうすぐだと思うんだ。