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午後になり、ガルロが作業機器のチェックをしていると、民間の廃品回収業者の薄汚いトレーラーがガタガタいわせながらやってきた。
運転に不馴れらしく、2度、鉄屑の山を崩しながらヨロヨロとガレージ前に辿り着いた。
運転席から出てきたのは、これまたおよそクズ鉄屋には見えない、細身で華奢な体格の青年であった。
歳はガルロと同じくらいだろう。 細長い顔にパーマのかかった赤毛をのせていた。 着ている作業服はサイズが大きいようだった。
運転に疲れたのだろうか? ひきつった笑顔をぶら下げて事務所へ入ってきた。
「どうも。ゲイブル大尉‥いや、ゲイブルさんから聞いてきたのですが、あなたがガルロさんですか?」
「そうだが? アンタが、モーシェック‥さん?」
ガルロはあらかじめゲイブルに聞いていた名前を半信半疑で呼んでみた。
なぜなら、想像とはかなりイメージが違っていたからだった。
モーシェックは軍の技術士官で、今回のプロジェクトの責任者だと聞いていたので、もう少しお堅いオッサンだと決めつけていたのである。
「そうです。あなたを手伝うようにと言われてきたのですが…」
「手伝う?オレを? アンタが?」
「ええ。よろしくお願いします。」
凡そ技術屋らしからぬ発言だった。 本来なら雇われたガルロが指示される立場なのだが、
しかも、自分の研究プロジェクトのはずなのに‥
少し面食らっているガルロに対して、モーシェックは申し訳なさそうに続けた。
「その前に‥あの、トレーラーをガレージに入れてもらえませんか?
私には大きすぎて扱え切れませんので…」
「お、オーケー。」
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