バトリング

プロローグ

　アストラギウス統一宇宙暦
　　　7213年７月９日
第３次銀河大戦（百年戦争）終結

停戦が決った今でも、この惑星では未だ諜報戦が繰り広げられていた。
来たるべき開戦に備えて―。

ここコーブもまた例外ではなかった。かつての街はスラム化し、人々は墜落跡の深いクレーターの中にまで街をつくり、身を寄せ合う様にして暮らしていた。

多くの軍需品や資源が行き交う為、自然発生的に闇商人やいかがわしい商いが横行し、それ故にまた、その甘い汁を吸おうと多くの人々が集まった。

また、この街では特にバトリングが盛んに行われていた。
　　‐バトリング‐
《戦争からあぶれた兵士達が自らを賭けの対象とし、ＡＴを操り模擬戦闘を見せ物としていた。他に生きる術を持たないボトムズ乗り達はただ明日の為に戦い、時には死者さえ出るこのゲームにスリルを求める人々は熱狂していた。》

軍からの横流しやスクラップなどが容易に手に入り、時には軍部にも極秘裏に試験の場として活用される事さえあった。
その為、規制などはなく、言わばお墨付きの様な形で公然とバトリングは興行されていた。