守墓地者

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魂を送るため、両腕を挙げる。 その時、「ちょっと待った!」と北川さんが言ってきた。 「はい?な、何ですか?」 いきなりの大声は驚くよ… 「いや、たいしたことじゃねーんだけどよ…。」 「…?」 「ありがとよ…。頑張れよな?」 照れくさそうに、北川さんは笑った。 僕は驚いたが、すぐに笑顔になった。 「はい!北川さんも、天界でお幸せに…」 そう言うと、僕は再度両腕を挙げ、北川さんを天界へ送った。 何だろう… この気持ちは。 心の中が温かい。 …12月25日 僕が死んだ日。 だけど何故死んだのかは分からない。 先輩… さっきの死神に、死んだ日以外の記憶を消されてしまったから。 先輩の死神が言うには、「生きてる記憶を持ってると辛くなるから」だそうだ。 「だけどな、こういう仕事を死んでも神から任せられるってことは、心が良い人だったからなんだ。」 先輩はそう言ってくれた。
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