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「余計なことは考えない方がいいぞ。考えるというのは死者にとって辛いことこのうえない。」
無表情に喋る先輩…
いや、死神。
金色の髪が青白い肌と、黒いローブに映える。
「はは…そうですね…」
力なく笑うと、僕はしゃがみこんだ。
先輩は驚いて、こっちを見たけど、直ぐに僕の状況を察したみたい。
「うぅ…う…だけど、辛かったんでずぅ…死ねないごとが。こごにずっと居るこどがぁ…」
泣いて上手く喋れない。
だけど泣かずにはいられない。
「…だよな。」
先輩は口を開いた。
「お前みたいな餓鬼が辛くなかった訳ないもんな…」
よしよし…と、先輩の手が僕の髪を撫でる。
嗚呼。
人の温もりって、久しぶり…
先輩は人じゃなくて死神だけど、頭を撫でてくれた手は、とても温かくて優しかった。
「ひっぐ…うぅ…餓鬼じゃありません…」
「ハハハ、悪いな。じゃあ、魂狩の依頼があるから行くな?」
「…いかないで、うぅ…」
「だから、そんな顔するなって…。」
「独りにじないで下ざいぃ…」
「大丈夫、大丈夫だから…お前なら大丈夫。お前は強くて優しい子だから」
そう言い残して、ニコっと微笑むと、先輩は居なくなった。
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