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「それを片付けるのが聖世の仕事だろ?」
いつの間に来たのだろう。
気配も感じさせず、聖世の隣に少年が並んだ。
もう一人の噂の転校生、水谷玲旺だった。
「玲旺か。君はいいな。私を見張っているだけでいいんだから。そこんトコ分かって言っている?」
聖世の言葉に玲旺は肩をすくめて見せた。
玲旺はガッチリした体型の美丈夫である。
端整な顔をしているのに、弱々しさを一切感じない。
「聖世さん、そろそろ教室に戻ったほうがいいよ。午後の授業が始まるからね」
はぐらかすように優等生らしい作り笑顔を向けて玲旺が聖世の手を引っ張った。
聖世は不快さに形のよい眉をしかめると玲旺の手を振りきった。
「やめろ。気持ち悪い」
「聖世さんたら可愛い顔して口が悪いんだから」
からかうような玲旺の口調と態度に我慢の限界を感じた聖世は玲旺から顔をそらし、無表情のまま屋上から校舎に続く鉄の扉を乱暴な動作で開けると、校舎内へと戻っていった。
勿論、閉める時も怒りに任せて力いっぱい叩きつけるように鉄の扉を閉める。
辺りに響くガシャンという鉄の扉が閉まる音を背に残された玲旺は小さく笑った。
「ちょっとからかいすぎたかな……」
そして周囲を見回して誰もいない事を確かめると、フッとその場から姿を消した。
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