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この気持ちは恋という言葉で片付けられるような簡単な感情ではないと。
「しかし、隼人も気の毒にな~。お前の恋は前途多難だ。お前の恋には強力なライバルが立ちはだかっているぞ」
「ライバル?」
「神無月さんと一緒に転校してきた水谷玲旺だよ。神無月さんとは幼馴染みだってさ。神無月さんを追いかけて転校してきたんじゃないかっていう噂があるぐらいだ」
「水谷玲旺?」
「ま、隼人も珍しくマジみたいだしさ、頑張ってみろよ。俺はお前を応援するぜ」
羽田の言葉に励まされながら、隼人は羽田と共に自分の教室に戻って行った。
その後ろ姿を三組の教室の出入り口付近で様子を窺っていた玲旺が恐ろしい顔で睨んでいた事を二人は気付いていなかった。
「何で俺がこんなことしているんだ……ブツブツ」
文句を言いながら古文の訳を書き写している玲旺に聖世は厳しい視線を向けた。
沢村は同僚の教師に呼ばれ席を外していた。
「文句を言うな。学力が低下すると次の学校で苦労するぞ」
転生したゼウスの指示一つで転校を繰り返す聖世と玲旺には常に平均以上の学力が必要とされていた。
どうしてこんな小さな島国に過ぎない日本に神話時代のティータネス達が転生してまで集まってきているのかは大いに謎だが、ゼウスは何か知っているらしい。
かの全能神自ら転生して、この国に居を構えているのがその証拠のように思えた。
「ハイハイ。聖世の言う通りですよ。これから奴の何を調べるつもりなんだ?」
「奴の事なら何でも、だ。生活拠点、生活環境、配偶者の有無、やつの経歴。全てを洗う」
「アイツはティタン神族なのか?」
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