2121人が本棚に入れています
本棚に追加
駒ヶ谷市は朝を迎えていた。
春らしい陽気と、まだ名残の残る早朝の冷たい空気が入り混じった風が吹き抜ける。
時は4月上旬。世間では入学式やらの行事が行われる季節がやって来ていたのだった。
そして駅前の大通りを外れた高級住宅街。その一角に、一際目立つ大きな庭を構える豪邸が建っていた。
その豪邸は普通の家ではない。豪邸である時点で「普通」でないとも言えるが、そう言う一般的な「普通」じゃない。
――この豪邸の地下室は、異世界と繋がっているのだ。
その異世界の名は「神界」。この世界「人間界」とはひとつ次元を違えた世界だ。
時間の流れるペースは人間界の十分の一、しかも人間界での寿命までも十倍となるので人間界の人が神界に行くと十倍の年齢に換算される。
更には、そこは人間界で言う所の神に当たる人々が暮らすも、その生活様式は色んな幻獣はいたり目立った文明の力は無かったりとベタなRPGと大差無い。
中世ヨーロッパのように王政で治められており、一部の人が神界にのみ存在する生命の力「法力」を使った「法術」を駆使する。
―――そんな世界の皇太子が、この豪邸に住んでいる。
最初のコメントを投稿しよう!