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新「制」活、スタート!?
男二人が、腕を組み並んだパイプ椅子に座っていた。
「この季節がやって来たな、ケン」
「そうだなぁ、カク」
ケンと呼ばれた男は大柄で、人混みの中にいれば確実に目立つ程に筋肉質な体格。対するカクと呼ばれた男は、引き締まっているもののやや線が細く、いかにも一般人という体格だ。
「今年は新人、何人入るんかなぁ、ケン?」
「わっかんねぇなぁ。それなりに人数が入ってくれりゃ良いんだけどなぁ、カク」
二人の会話は視線を交わさずに、春の青空をぼんやり見上げながら行われていた。
「……なぁ、ケン」
「なんだよ、カク」
「このしゃべり方面倒じゃね?」
「そこに気づくとは……やはり天才か」
「がはは」
「いや、皮肉ったんだぞ? お前から始めた会話だし」
馬鹿なやり取りをしてから、互いに短いため息。
すると、不意に大柄なケンが立ち上がり、
「よ~し! そろそろリングのロープを締めるぞー!」
快活な声で、そう号令をかけた。
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