新「制」活、スタート!?

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「は、はじめまして。えと――三神、レナ、です」 駒ヶ谷高校一年B組。朝のホームルームの場に、緊張しまくるレナの姿はあった。 春の陽光が差し込む教室にいる全員の視線が、教壇前の金髪の少女に注がれている。 「三神さんは、元々うちの学校に入場する予定だったんですけど、外国からの転居届けの関係で少し遅れての入学となりました。仲良くしてあげて下さいねー」 教壇上にいる若い女性の教師から簡単な説明が入るが、彼女に興味津々な教室にいる他の生徒の耳には届いていないようだ。 紹介も手短に、女教師は窓際の空席に視線を移す。 「じゃあ、席はあの空いた席でお願いします」 「はい……」 緊張の為少しぎこちなく返し、恥ずかしく無いよう、姿勢を正して席へ向かう。 とは言え、周りの一般人から見ればその姿はとても緊張を誤魔化した仕草には見えなかった。ポニーテールに結い上げたウェーブがかった煌びやかな金髪に、校則を読み込んだのか一切の乱れの無いブレザーの制服、そして真っ直ぐな姿勢によって生まれたスラッとした体のライン。とても中学校を出てきた少女とは思えぬ、気品に溢れた様であった。 席にたどり着き、木製の椅子を引いてスカートを整えて着席する。これだけの所作だというのに、教室のどこからか感嘆のため息が漏れた。 「はーい男子諸君、鼻の下伸ばしてないで話を聞いて下さいねー? じゃあ、今日の予定について…」 いきなりの美少女の登場に明らかに揺れる生徒の反応に女教師がイタズラっぽく笑うと、本格的にホームルームが始まったのであった。 「おはようございまーす!」 自分のオフロードバイクを駐車したノブは、すぐに目的地であった倉庫のような建造物、その中にあるプレハブへ駆け足で入って行くや否や、朝の眠気など吹き飛ばすような挨拶を口にした。 ここは駒ヶ谷市内にある自動車向けの小さな工場。故障、車検切れなど中古車を引き取ったり、修理などを引き受けるノブの職場だ。
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