新「制」活、スタート!?

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「えぁ? ああ、聞いてはいるよ? ただ春の陽気っつーか、なんだか眠気が……」 そう言って大志がトントンとペンで指したスケジュール帳兼メモ帳の冊子には、一応要点だけまとめたメモ書きが。眠気はあれど、しっかりやるべき事はやっているというアピールだろうか。 全てをメモに取って全てを覚えられる天才型の沙羅に対し、大志はこのように重要な部分だけ書き留める効率の良い一般型のノートの取り方だ。 「ここで居眠りしたら、私の膝枕という周りに恥ずかしい目に遭わせる」 「これまた新しい脅迫だな……大丈夫、起きてはいるから。これ終わったらサークルの新歓イベントがあちこちでやるらしいし」 そもそも脅迫になるのかどうか微妙な条件に、大志は軽く笑いながら説明に耳を傾けようとする。 が、 「……残念」 「おい」 同じように体勢を戻した沙羅が思わず漏らした呟きに、ツッコミを入れざるを得なかった。 こちらはこちらで、非常にのどかな生活である。 「ねぇねぇ、三神さんってハーフなの? 名字は日本人ぽいからさ」 「三神さんはどの辺住んでるん?」 「彼氏いるのー?」 二時限目終了後の休み時間。レナは男女問わず興味津々なクラスメート達からの質問攻めにあっていた。ホームルーム直後、一時限目の休みとずっと同じ調子なのだが、良くもまあ飽きもせずに質問を割り出して来るものだ。 「えーと、祖父が日本人で、駅の向こう側の住宅街に家があって、こ、恋人……は……いない、です」 三方からの質問に対し、レナが姉に似た几帳面さで一つ一つ馬鹿正直に答えると、その場の五、六人がワッと華やいだ。 「って事はクォーター!? すごーい! 見た感じお母さんとかはヨーロッパ系かな!?」 「駅の向こう側って確か豪邸ばかりのニュータウンだよね!? どんだけ金持ちやねん!」 「おい聞いたか野郎共! 三神さんはフリーであらせられるぞ!」 Foooooooooo!! 自分を王族という特別な色眼鏡で見ない人からの反応は、レナにとってなかなか気分の悪いものではない。普段なら今の男子連中のような反応は邪険に感じてしまうのだが、今回は全然許せる範囲に思える。
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