新「制」活、スタート!?

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元々野球はノブの提案で高校から始めた、気軽なきっかけから始まったもの。だが、取り組む姿勢自体は決して不真面目だとか、妥協だなどと言われないようなものであった。今も手の平にあるバットのマメの痕や、今も顔を出せば尊敬を伴った笑顔で出迎えてくれる後輩がそれを物語っている。 そして大学生となった現在、きっかけの親友ノブは不在、高校時代からの仲間もいないという状況の中、大学の野球部という場は競技に関係無く全く知らない世界としか思えないのだ。つまり、言ってしまえば他のサークルと同率な位置付けな訳で……。 「うーん……まぁ、気が向けば、だな」 「そう」 当たり障りの無い返答に止めた所で、大志は再びキョロキョロと見渡しサークル探しに没頭しようとした。 その時である。 オオオオオォォォー!? どよめきとも取れる歓声が、前方から聞こえて来た。 「んん?」 「?」 ライブステージのようなものでもあるのか、と二人顔を見合わせ首を傾げる。だが、それにしては音楽が聞こえて来ないのはおかしい。 他のブースより密度が特に高い人混みの向こうから聞こえて来るのは、 “さぁ、立ち上がった両者睨み合う! どちらもまだ目は死んでいない! 目は死んでいないぞ!” MCだろうか、マイクを使って拡声された声が聞こえて来るだけだ。 「何……?」 「さぁ。ちょっと見に行ってみるか」 どうにも気になって仕方がなかった二人は、興味本位でその発信元へ行く事に。 そして群衆の中へ入り込み、前方の観客の頭越しに目的のものが見えた瞬間、 「こ、これは……っ!」 大志に戦慄が走った。
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