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「っしゃあ!」
格闘技のリング上、赤いショートスパッツを履いた短髪の大柄な男が、突進しながら右腕をぶん回す、ラリアットを放つ。
“剛腕で一気に沈めに行くのか!?”
仕掛けられた中性的な体格の、青いロングタイツの男は迫る右腕を視認した瞬間、
パシッ
腕をかいくぐるようにかわしながら捕らえると、赤タイツを前方へ転がすように崩し、足を脇に抱えて押さえ込んだ。
“キドクラッチ! じゃないキ○ウクラッチ! 一瞬の隙を突いた! カウントは……っツー! ギリギリで返したぁ!”
“あとワンカウント入っていれば大金星でしたねぇ!”
ギリギリで入らなかった最後のカウントに、リング脇に設置された長机に構える実況陣もヒートアップ。
……何やら下ネタが聞こえた気がしたが、それをあまり気にしない。
「っく!」
赤スパッツがすぐに立ち上がると、ダメージが残る黒タイツを改めて見据える。
と、その時だった。一つの人影が黒タイツの後方にあるロープに飛び乗り、赤スパッツに向けて跳躍。
ズドッ!
“うおー! パートナーを飛び超えてミサイルキックゥゥゥ!!”
“今、食らったケンニョーショー選手の意識から完全に外からの攻撃でしたよ!”
……再び聞こえたような――いや、確実に聞こえた下ネタはこの際気にしない。
ロープ上から跳躍するドロップキック――ミサイルキックを放ったのは、黄色のロングタイツを履いた派手な長身レスラー。
「よっしゃ行くぞー!」
マスクマンが力強く名乗りを上げていると、その後ろからロープから返ってくる小さな人影が。
「はあっ!」
「!?」
青いショートタイツにレガースを付けた小柄なマスクマンが、背後から右脇の下を逆上がりするように跳び上がり、上がった両足で長身の首を捕らえ、遠心力で頭からぶん投げた。
ズダンッ!
“決まった、コルバター! ドクトルたまらずリングアウト!”
“綺麗なフォームですねぇ~! イ○カク選手、さすがといった所でしょうか”
“そうですねぇ。おおっと○ンカク選手、更に場外へ追撃か!?”
青いタイツがリング下に落ちたマスクマンを見据え、ダイブしようとトップロープを掴みながら腰をグッと落とした時だった。
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