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ワン。
ツー。
「キ○ウー!」
バシッ
スリーカウント目が入りそうになった所で、長身が滑るように赤スパッツに体当たりをし、カウントを中断させた。
“おお! ギリギリでカットが入ったぁ!”
“今のはカットが無ければ完全に入ってましたねぇ。危なかったです!”
しかし、長身を追ってリングインしたマスクマンがその首根っこを掴み、場外へ投げ捨てて邪魔が入らないように押さえ込んだ。
それを確認した赤スパッツが黒タイツを引き起こし、前屈みにさせた頭を自分の股下に挟み、拳を高く挙げた。
「よっしゃ決めるぞおおお!!」
“さぁイン○クのアシストを受けて、とうとうフィニッシュか!?”
“条件は完璧ですからね! あの技が来ますよ!”
力強いアピールをした赤スパッツは、その状態から相手の腰に両腕を回し、高々と肩の上まで持ち上げる。
““ケンニョー……!””
そして、尻餅をつきながら黒タイツを背中からマットに叩きつけた。
ドォンッ!!
““ボォォォオオオムッッ!!””
迫力満点のシットダウンパワーボムに、実況陣がシンクロして独自の技名を叫ぶ。
続けて叩きつけられた姿勢のまま押さえ困れている黒タイツに、レフェリーが再びマットを叩いてカウントを取る。
ワン。
ツー。
スリー。
観客から一斉に上がった歓声を引き裂くように、ゴングが連続して鳴らされる。
“スリーカウントォ! さすが現王者! 磐石の勝利です!”
“いやぁそれでもキト○選手、もう少し押し切れればあわや現王者から大金星を挙げられたかもしれませんでしたねぇ!”
実況と解説両者からコメントが出てくる中、いつの間にかチャンピオンベルトを巻いた赤スパッツ、リングに戻ってきた青タイツが並んで勝ち名乗りを受けていた。
「ほぉぉぉー……」
初めて目にした学生プロレスという文化に、大志は目を輝かせて感嘆の声を漏らしていた。
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