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「………」
初めて見る目の前の催し物に、沙羅はキョトンとした表情で固まっていた。
この場をどう過ごしたものかと手持ち無沙汰な気持ちになった彼女が、
「ねぇ、大志く‥」
隣にいる大志に今後の行動を聞こうとした時である。
――隣にいた筈の大志の姿が、辺りに見当たらない。
「――?」
はぐれてしまった不安を心の隅に抱きつつ、辺りをキョロキョロと見回しているとすぐにその姿は見つかった。
――リングの傍で、意気揚々とスタッフと思わしき男子学生に話しかけている。
「入団希望です! おなっしゃーす!」
「え、あ……はい」
おかしな程にハイになっている大志の申し出に、試合直後で興奮冷め止まぬ状態の筈のスタッフはたじろぎながら応対していた。
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