因縁のリング!?

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因縁のリング!?

神界、王都ユグドラシルの北部郊外――。 まばらに立つ住居くらいしかない山間地帯に、馬に跨がる一人の人物が佇んでいた。 春の真っ只中の人間界とは違い、神界は現在秋の最中。季節特有の強めの風から塵を防ぐよう、その人物は全身を覆うような厳重なマントを被っている。 跨がる馬は辺りの木々の紅葉に良く映える、眩しい程の白馬。とてもではないが一介の旅人が駆っているとは思えない一頭だ。 「んぐんぐ――」 その人物はちょうど何かを食したのかモゴモゴと口を動かしており、この場に止まっていたのは軽食休憩のためであったらしい。ちなみに白馬は白馬で暢気に足元の草をつまんでいる。 「――ん、辛口のくせにソースの辛さが足りなかったかな。七十点」 そしてペロリと口についていたソースを舐め取り、口にした物に対する評価を誰が見ている訳でもなく下したその声色は、大分砕けた物言いとは言え明らかに女性のもの。楽天的ながらも凛とした響きを宿していた。 「むふ~。……んじゃ、戻ろうか」 そして一言呟いた後、跨がる白馬の首を優しく一往復撫でて再び旅路を進み出した。
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