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こども
くまさんは君の手に
僕は笑うよ
にっこりと
黙って微笑む目は
寂しそうに見えてしまったみたいだけれど
大人ぶって我慢してた僕はまだ
よちよち歩きのひよこだった
さぁ今
少しだけ隙を見せるから
嘘を見破って
何も知らない顔をして
仮面を剥いで
僕に涙を
空気を読めとお父さん
僕はずっと
しかめっつらさ
心の中ではまだ
お腹を抱えて笑っているんだけれど
口の端からこぼれた空気は
僕の失敗だった
さぁ今
少しだけ隙を見せるから
嘘を見破って
何か知ってる顔をして
仮面を剥いで
僕に笑顔を
覗き込む君の目は
僕の全てを見透かしていた
「本当を、見せて。」
君の呪文でドアは開き
溢れ出した“僕”
取り上げられた大切なものは
大人になってからじゃ遅いんだ
大きな声で笑って
地団駄踏んで泣いて
そんなこと
今しか許されないでしょ?
たくさん笑って泣いた僕は
少しだけ大きくなれたみたい
今ならひとつの飴だって
君に笑ってあげられる
僕はもう
こどもじゃないよ。
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