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序章 ~おい!見ろよ!~
僕らは知らなかった。
春の温かさを。
僕らは知らなかった。
冬の寒さを。
僕らは知らなかった。
彼を。
手にする物なんか何もないと思ってた。
心を動かす物なんか何もないと思っていた。
ある日教えてくれた。
彼が。
見た目はキモくても。
中身はウザくても。
彼は精一杯生きてた。
本当に精一杯生きてた。
またそれがキモかった。
大切なことを教えてくれたのは、
彼じゃない。
でもきっかけをくれたんだ。
生きるきっかけ。
下には下がいるって。
自分をどうしようもないやつと思ってた。
自分は生まれてくるべきじゃないって思ってた。
自分が出来損ないって知った。
でも彼を見たら…
勇気がでるんだ。
僕よりアホがいたんだって。
彼は『安富』。
世界で一番のアホさ。
彼が教えてくれたんだ。
生きるってことを…。
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