第3話:幻聴と会話

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私は幼少の頃から、幻聴(と、周りには言われる)が聞こえていた。 例えばこうだ。家族でテレビを観ているとする。すると、傍から微かに声が聞こえてくる。 「……そう……」 誰かが喋ったと勘違いした私は、テレビから目を上げて家族に聞く。 「何が『そう』なのさ?」 それを聞いた家族は『この子はまた何を言っているのだろうか』と不思議な顔をする。こんなやり取りがほぼ毎日交わされていた。 “幻聴”ではなく、正しくは“霊の声”だったと知るのは、もっと大人になってからだった。
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